【旅の目的になるホテル×GMインタビュー】新しい体験を、自分らしいスタイルで-ニッコースタイル名古屋

「旅の目的になるホテル」
日常から離れ、贅沢な時間を過ごし癒されるだけじゃない。その滞在が自身の感性を磨き、身も心も豊かにするようなホテル。そんな、旅の目的にふさわしいこだわりのホテルの魅力をGM(総支配人)にインタビューし深掘りします。
今回は、名古屋で初のライフスタイルホテルとして誕生した、『コーヒーと音楽にこだわった唯一無二のホテル』ニッコースタイル名古屋の西 GMに、こだわりにこだわり抜いたホテルの魅力をお伺いしました。
感じる、触れる、発見する。旅というもう一つの日常で新しい自分に出会う
–「オークラ ニッコー ホテルズ」の新ブランド「ニッコースタイル名古屋」。なぜ名古屋という街に1号店をオープンしたのでしょうか?

1998年、ホテルオークラ入社。
ホテルオークラ東京、ホテルオークラ 事業部事業財務課、ホテルオークラ札幌 総支配人補佐、ホテルオークラ事業本部 事業企画部付 管理部長として台湾プロジェクトを担当。その後、オークラフロンティアホテル海老名 総支配人室 室長、オークラニッコーホテルマネジメント 運営管理本部 国内運営部 シニアマネジャーを経て、2019年9月より、ニッコースタイル名古屋の総支配人に就任。
2020年8月7日にニッコースタイル名古屋はオープンしました。当時、名古屋のホテルは、冠婚葬祭で使われるようなホテルがほとんど。東京や大阪などにあるような、ホテルのカフェやレストランを普段使いできるホテルがありませんでした。
そこで、気軽にランチやディナーに行ったり、コーヒーを飲みながら仕事ができるような、普段使いができるホテルを名古屋に作ろうとなりました。

我々のホテルでは「まだあまり知られていない良いもの」を大事にしています。
今はまだ無名だけど良いものを滞在中に知っていただき、新しい気付きや体験をしていただいてお帰りいただきたいと思っています。
例えば、有名建築家やデザイナーがデザインしたホテルと聞くと、良いホテルのイメージが出来上がると思うのですが、そういうホテルは期待値と満足度がイコールなことがほとんどです。
我々のホテルは、派手で有名なものでお客様に来てもらうのではなく、無名だけど良いものが取り揃えられている。極力そのものには発信力はないけれど、実際に来て見て聞いていただくと、その良さがわかっていただける。
そういった情報というのは、文字や映像でもなかなか伝わらないものですが、実際に訪れてみると自分の物差しの期待値を上回るのです。
そういった体験が良い口コミをいただいている理由なのかなと思っています。
そもそも「ライフスタイルホテルとは?」と考えても、コンサル会社や不動産会社などが定義する要件も結構バラバラで、明確なものがありません。
そこで、我々の言葉でスタッフに説明する時に、自分の中で一番しっくりきたのが、「ライフスタイルホテルというのは『自己実現』ができる場所」であるというものです。
心理学にマズローの欲求段階説※と言うものがあって、第1階層から第4階層までの全ての欲求が満たされた場合に至るのが自己実現欲求です。
※Abraham Harold Maslow “A Theory of Human Motivation, Psychological Review” (1943年)
自己実現の欲求は、自分の人生観・価値観などに基づいて「自分らしく生きていきたい」と願う欲求とも言えます。
自己実現を求めるお客様はそのホテルに目的を持って訪れる。じゃあ目的は何かというと、最初にお話した、新しい気付きや発見、体験に触れていただくことです。
例えば、デラックスフロアルームの客室のシャンプーは「木村石鹸」のものを使っているんですが、初めて使ってとてもよかったので家でも買ってみようとか、ホテルのインテリアを見て、自分の家のリノベーションする時の参考にしようとか、このソファーいいな欲しいなとか、そういう気付きや発見ができるホテルにしていきたいと思っています。
徹底的なこだわりが生み出す、新たな体験と心地よい空間
– 他のライフスタイルホテルとは違った「ニッコースタイル名古屋」ならではの魅力とは?
『コーヒーと音楽にこだわった唯一無二のホテル』を謳っているのですが、本当はあらゆるものにこだわっていて、口コミでも「こだわりがすごい!」といったコメントをいただくことが多々あります。
しかし、ホテルのメッセージとして「1から100まで全部こだわってます」とお話しても伝わらない。それならば、何よりもこだわっているコーヒーと音楽、この2つをこだわりの代表格として打ち出すことにしました。
まず、コーヒーも音楽も無くても生きていけるものなのですよ。でもあると、その時間や一日をとてもハッピーにしてくれる。
コーヒーに関して、世の中で一番海外で取引されているのが石油、その次に多いのが実はコーヒー豆になります。
それだけ世界中の人々がコーヒーを嗜好していて、朝コーヒー飲まないと1日が始まらないと言う人がたくさんいらっしゃる。
音楽に関しても、失恋した時に音楽を聞いて元気になったり、アスリートが音楽を聴いて自分のモチベーションを上げて試合に出るなど……。無くてもいいが、あることによって我々はすごい恩恵を受けている、それだけ大事なものなんだと思います。
あと、コーヒーも音楽もいちいちスタッフが「おいしいコーヒーなんですよ」とか「これはいい音楽なんですよ」と説明をしなくても、お客様が直感的に自分にとって良いコーヒーか良い音楽か区別がつくものなのです。ある意味、世界共通言語みたいなものだと感じていて、そこがいいなと思っています。
–なるほど。具体的にコーヒーはどのようなところにこだわったのでしょうか?

コーヒー豆は地元名古屋のTRUNK COFFEEというロースターさんとコラボレーションしています。世界のコーヒー豆のわずか5%未満と言われている希少な最上級「スペシャルティコーヒー」を世界各国から厳選しています。
TRUNK COFFEEの本店ではシングルオリジンという単一の豆で提供しているのですが、我々のホテルでは、TRUNK COFFEEで初となる特別なオリジナルブレンドを作っていただきました。
浅煎りでもあまり尖らずマイルドなブレンドコーヒーになっています。
コーヒー豆は赤道直下から運ばれてくるのですが、昔は日本まで運ばれてくる間に傷まないように、焙煎する必要がありました。さらに、より水分を飛ばした方が痛みにくいので深煎りに焙煎したものが届いていました。
日本でなぜ深煎りコーヒーが多いのかと言うと、物流の問題で深煎りしかなかったという歴史があります。
今では、物流が発達し冷蔵などで運べるようになったため、日本でも生豆を焙煎できるようになり、北欧系の浅煎りコーヒーができるようになりました。
浅煎りの良いところは、コーヒーは元々果実なので、酸味があります。フルーティで酸味を活かせるのが浅煎りの特徴です。

–私はあまりコーヒーに詳しくないのですが、こちらでコーヒーをいただいた時、ベリーみたいな、それでいて後味がチョコレートのような甘みを感じて、初めてコーヒーって美味しいかも!豆を買って家で飲もうかなと思いました。
そういった気付きや体験をしてもらえて良かったです。
我々は、貴重な豆のコーヒーを提供しているだけではなく、提供し飲むところまで品質にこだわっています。
スペシャルティコーヒーの定義に「From Seed to cup」という代表的なキーワードがあります。これは、「コーヒーの生産からカップに至る全てのプロセス」を意味します。
コーヒーが提供されるまでの過程で、栽培する人・生成する人・運ぶ人・焙煎する人・抽出する人が一定の品質を保ち、正当な対価を支払わなくてはならない。
サステナビリティとトレーサビリティが確保されたSDGsに通ずるのがスペシャルティコーヒーの概念なのです。

ホテルが責任を持つ抽出に関してどうやっているのかと言うと、「Poursteady(ポアステディ)」という、元NASAの技術者が開発した全自動のコーヒードリップマシンを導入しています。TRUNK COFFEEのオーナーバリスタと同じ動きや抽出時間をプログラミングさせることで、プロが淹れたものとほぼ同等の味と香りを提供しています。

そして提供する上で、コーヒーカップにもこだわりました。TRUNK COFFEEが美濃焼の窯元と5年もの歳月をかけて共同開発した、コーヒーを飲むために作られたアロマカップです。コーヒーは香りを楽しむものなので、当ホテルで採用しているバレルアロマカップはワイングラスのように先が細くなり香りを包み込むような形状をしており、持ち手の位置もコーヒーを口に注いだ時に、舌の一番美味しいと感じるところに落ちるように作られています。
–次に音楽に関してのこだわりを教えてください。

「優れたBGMとは、それ自体が無音のようにふるまうものである」
これは、ニッコースタイル名古屋のBGMを担当してくれたKenichiro Nishihara氏の哲学です。
BGMは自ら好んで聴くものではなく、音楽がうるさ過ぎると騒音になってしまう、嫌悪感を感じると雑音になってしまう。かといって無音はすごく冷たく無機質で逆に緊張感を与えてしまう。
今、30分間くらいコーヒーに関して話していましたが、結構大きな音でBGMが流れていました。音楽が邪魔になることはありましたか?
–全然気になりませんでした。
これがマジックで、意識しなければ全然邪魔にならない。無音のように振る舞っているけど心地よい空間なのはBGMがあるからなのです。
では、どうやっているのかというと、24時間1曲も同じ曲が流れず、時間帯ごとに音楽のテーマが変わるようにしました。
人間というのは、同じ曲が流れると気が付きます。
「これさっきも流れた曲だ」と気付くと時計を見る。そうなると、「もうこんな時間だ」とか「子供を迎えに行かなきゃいけない」って思い焦ってしまう。そうなるとBGMは逆効果になってしまいますよね。
24時間1曲も同じ曲を流さないことで、時間に囚われることなく、心地よく長居ができる。よく口コミでも「気づいたら長居してしまった」とコメントを多くいただいています。
また、時間帯ごとに音楽のテーマが変わるようにしています。人間は自然と音楽と時間帯を結びつける習性があります。その習性を活かして1日を7つのパートに分けてその時間帯に合った音楽を流すようにしています。
そういった様々な工夫をしてBGMを作り、心地の良い空間を作っています。
また、ラウンジスペースでは週末を中心に、選りすぐりのDJたちによるイベントが行われ、新しい時代のラウンジミュージックの発信地を目指しています。


–客室でもコーヒーや音楽を楽しめる仕掛けがありますよね?
そうですね。
部屋のアメニティでも、TRUNK COFFEEのドリップコーヒーをバレルアロマカップでお楽しみいただくことができます。
また、『旅先でもいつもと同じように“自分だけのコーヒー、自分のための一杯”を味わいたい!』という、真のCOFFEE LOVERのために、お部屋で愉しめる「ハンドドリップコーヒーセット」を用意しています。

音楽に関しても、GENEVA(ジェネバ)の高音質なBluetooth®️スピーカーで心地のよい音楽を客室でも楽しむことができます。

客室にあるテレビにコーヒーや音楽の楽しみ方のご案内があるので、ぜひご覧ください。
人とコミュニティと環境に和を結ぶホテル
–アメニティなど地球環境に配慮したこだわりがあるとか。
そうですね。ニッコースタイル名古屋では、SDGsを実践する宿泊施設の国際認証「Sakura Quality An ESG Practice」において、今年7月に、東海、北陸地方にあるホテルとしてはじめて、“自然環境や社会への積極的な関与が認められる”とされる上位評価「4御衣黄(ぎょいこう)ザクラ」を取得しました。

我々は「脱プラ」施策で植物由来のエコ素材をアメニティに使用したり、サスティナビリティとトレーサビリティが確保されたスペシャルティコーヒー豆の採用や、地元名古屋で生産された食材を優先的に使用するなど、おもてなしの中でSDGsを実践しています。

他にも、愛知の伝統工芸品を紹介や体験できるイベントなども実施するなど、『コーヒーと音楽にこだわった唯一無二のホテル』であると共に、『人とコミュニティと環境の和を結ぶホテル』として、持続可能な社会実現のために意欲的に取り組んでいます。


–最後にニッコースタイル名古屋にとってHafHとは?

「歩み入る者にやすらぎを 去り行く人にしあはせを」
川端康成が東山魁夷のエッセイから引用して贈っていただいた言葉です。「この言葉こそ、ホテルオークラの心、精神でしょう」と語り継がれているものなんですが、HafHの「Home away from home」と通じるところがあると思っています。
日々の生活に何か物足りなさを感じ、新しいものを求めながらも快適な旅をすることを、HafHのユーザーの方々は求めているように感じます。
そういった方々に、くつろげる居心地のいい空間を提供するだけでなく、新しい発見や体験をご提供します。ぜひお越しください。
ニッコースタイル名古屋
愛知県名古屋市中村区名駅5-20-13
▼プレミアフロア
プレミアキング
定員1~2名
1050コイン~ / 泊
▼デラックスフロア
デラックスキング
定員1~2名
900コイン~ / 泊
デラックスツイン
定員1~2名
850コイン~ / 泊
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